別府の家 大分県別府市

3世代が心地よく暮らすための住宅

2010年10月竣工

この建ものは温泉地、別府に建っています。
夫婦と子供4人、おじいちゃん、おばあちゃん の計8人という大家族のための住宅です。

話を伺うとそれぞれに個室が必要、ゲストルームや倉庫も欲しい、車は2台、屋上庭園もいいなあ、、、となり、間取りでいうと、何と10LDK+P2台+EVという大きなものになってしまいました。

敷地はというと東西両隣を4階建てに囲まれた60坪(200㎡)の奥行きの長い平坦地です。特にこれと言った特徴はありません。景色も向かいの家が見えるだけ。ただ、さすが別府、敷地内に温泉が掘ってあるのです!

希望はとにかく暖かくて、明るくて、大きなキッチンのある家。
当時は古い木造の家にお住まいで、隙間風ピューピュー、窓が小さくて昼間でも暗く、キッチンも昔仕様でした。

ただ、新たに購入したこの場所も、両隣を4階建てにピッタリ挟まれた奥行きのある敷地です。普通に計画したのではなかなか家全体をくまなく自然光で満たすことはできません。しかも要望を全部入れるとこちらも4階建てになってしまいます。

しかし、設計を工夫することで、この建物にも自然の光を所々に取り入れることができるのです。

家の中央にガラスのペントハウスを持つ大きな吹き抜けをつくり、その中にゆったりとした階段を入れました。これで上下を貫く光を家の中に落とし入れます。そしてその横に光の井戸となる小さな中庭を配置しました。家の中でも風や雨といった自然を感じて欲しいのです。

別府の家の解説図

この2つにより家の中心に光の背骨(骨格)ができあがります。人はその光の背骨をぐるぐると回遊しながら生活するのです。さらに裏側に日光を安定的に反射させて明るくする壁(高さ6m)を造り、正面、中心、裏、全てが光に囲まれた構成としました。開口部をあけると風もたてよこ縦横無尽に渡っていきます。

ここまで来ればしめたもの。さあ、かかってこいという感じ。どこに何の機能(部屋)を配置しようが明るく楽しい空間です。

子供部屋は最上階でRの天井にトップライト、主寝室は木でできたR天井にハイサイドライト、おじいちゃんおばあちゃんは明るく落ち着いた空間、温泉へは空中の渡り廊下を通って行くしかけに、趣味の部屋は大音量でロックが聴ける防音仕様でと、次々に決まっていきました。

別府の家の解説図

ここで敷地の周囲を見回すと1つの問題点が浮上してきました。
南側道路に接していて2F南にリビングがあります。明るく開放的(窓を大きく)するとどうしても通行する御近所さんと目が合うのです。目が合ったら挨拶しないわけにもいかないし、、、無視するのもいやだし、、、
大きな窓を作り、明るく開放的にしても、特に夜はカーテンを引きっぱなしの生活が目に浮かびます。

昨今、外部に対してもやたら窓が大きく内部が丸見えの建築が多く見受けられますが、どうやって生活してるのでしょう?フォトジェニックではありますが大丈夫なんでしょうか?カーテン引きっぱなしになってません?
一度、生活者にヒアリングしてみたい気になります。

で、どうしよう、、、悩みました、、、そうだRCルーバーを段々にずらしていったらどうだろう!(意味わかんないですよね。後で写真を御覧ください。)これで道行く人と視線が合わず、開放的ながらプライベートの守られた空間ができあがります。しかも、こうすることにより夏の強い日差しはさえぎり、冬の暖かい日差しは迎え入れられます。

別府の家の解説図

なんてECO!

でも本当にそうなるんだろうか?
さっそく理科年表を開き、別府市の夏と冬の太陽の南中高度を調べ検証します。ルーバーの大きさやずらす距離を検討し、よし、うまくいきそうだ。このおかげで南側正面のイメージが固まりました。一見派手な形態なんですが内なる必要性から生まれたデザインなんです。

しかし、考えるは安し、作るは難し。です。これを造るのには現場でかなりの苦労をしました。今振り返ってもよくこんなの造れたねと感じます。現場監督と多数の職人さんに感謝感謝です。

ようやく完成すると他人の家なのに我が子のよう、離れたくない。泣く泣く引渡しを行い、ひとまず終了。でも次の日見に行くと、4人の子供たちがおおはしゃぎで家中を遊びまわってます。その姿を見てやっと自分の心も納得いってくれたようでした。

別府の家の家族写真

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